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すじこ(筋子)を知るための50のこと① 1-10

今回から新シリーズです!

オカムラ食品工業が手掛ける養殖・調達・加工・販売の4つの垂直統合事業のうち、話題を、国内の食品加工事業に絞ります。さらに絞って、テーマは「すじこ」。

まだまだ知名度を上げたいこの食材について、語りつくそうと思います。題して、「すじこ(筋子)を知るための50のこと」。50もあるかなー。数えてみたら、現状で50にはちょっと足りないんですけど、「~ための○○のこと」はどうしても50でなくてはならぬので、このタイトルでいきます。

なぜすじこを語るのか

さて、1971年に創業したわたしたちの祖業・商品となる魚卵加工品の中でも、すじこはスター的、もう少し詳細に言うと「ローカルスター的」な存在なんです。抜群の魅力です。
 
ただ、ただですね。ローカルスターだけに、まだまだ地域によっては存在すら知られていないんです。
・そもそも「すじこ」とは何者か、その魅力は
・なぜ知られていないのか
・一部で熱狂的な人気があるのになぜ現状ではローカルスターにとどまっているのか
このあたりを、ひも解いていきたいです。
 
このシリーズでは
・すじこ未経験のみなさんには、すじこの基礎知識で魅力を感じていただき、一度は口に運んでもらう
・すじこ経験者の方には、もっと食べたいと思ってもらう
・すじこ民※には、誰かに教えたくなるすじこうんちくを提供する
※X(旧twitter)を中心に、すじこ大好き発信してくださっているアツいユーザーさん
を目的に、「すじこを知るための50のこと」をここに編んでいく所存です。
応援の程、よろしくお願い申し上げます。今回は本当に基礎の基礎からまいりましょう。

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https://x.com/okamurashokuhin

注釈:このシリーズでは、調味加工を施した食品を「すじこ」と、サケ類から取り出したまま(=調味加工前)の魚卵は「腹子(はらこ)」と呼びます

こちらがすじこ。はじめて見た、という方もいるかも

①すじこはサケ類(サケ・マス)の卵から作られます

まず、「すじこ」という名前すら知らないという方に知ってもらいたいのは、すじこがサケ類の卵で作られている食品だということ。ここからすべての説明が始まります。最初に覚えてください。すじこはサケ類の卵を塩またはしょうゆなどの調味料で漬け込んだ食品です。

②つまり、イクラと同じ原材料です

ということは、みなさんがテレビなどでよく目にする海鮮丼やおせち料理によく乗っかっているアレ、イクラと同じ原材料から作られています。

こちらはいくら。否応なく盛り上がるごちそう感。もちろんおいしい

ふむふむ。ここまで聞いたところで、「・・・ってことは、あれ?じゃあ」と身を乗り出してきたくなってきたでしょう。たくさんの疑問が思い浮かぶはずです。

ご安心ください。まだ48も、すじこについて知ってほしいことが残っています。余さずお答えしますよ。

③なので、主にサケ類が獲れる東日本・北日本の食品です

先に地理的な説明からお話しします。サケ類が遡上(そじょう)する川は水温が低い川、つまり東日本から北海道にかけてのエリアです。もちろん、そこで卵も獲れます。食材は、原材料が得られる場所で作られるので、すじこもイクラも東日本・北日本の食品・文化ということになります。

④どの地域で食べられているの?

中の人が調べた限り、すじこが一般的な食材として食べられているのは新潟県・東北6県・北海道が中心です。塩分濃度・保存性を上げた食品のため、各エリアの海岸部を中心に作られ運ばれ、同じエリアの内陸部でも食べられています。


おおむねこのエリアです

総務省の統計でも、すじこが含まれる「塩干魚介」というカテゴリは、これらのエリアでの購入金額が全国平均を大きく上回っています。ここについては、別の「50のこと」でご紹介します。ネタギレコワイ・・・

社員や友人、取引先など様々な方に「すじこ、食べますか?」と聞くと、一定の頻度以上食べる人は、このエリアにいらっしゃることが多いです。エリア外の方の場合、親類縁者がこのエリア出身で、子供の頃から口にすることがあった、という方が多いです。

一方、西日本ではあまりお目にかかることのない食品です。そもそも存在すら知らない方も多いはず。


⑤全国、特に西日本で販売していないのか問題

わたしたちの直販事業スタッフは、これまで西日本の「東北物産展」催事にも出店してすじこをおすすめしてきたのですが、「すじこ?なにそれ?」といった反応はとても多かったと聞きます。「イクラと同じサケ類の卵だけどイクラじゃないんです」では伝わらないですし。

そもそも、「50のこと」を書いてつまびらかにしようとしている時点で、はじめてすじこに出会った人にわかりやすく魅力を説明するのはとてもむつかしいのです。

すじこに関する知識や体験の「裾野をふやす」ことが、まだまだ足りないなーと痛感しています。このシリーズが、少しでも、少しずつでも多くの人に読んでほしいと思った大きな理由が、⑤のアンサーになるかもしれません。

⑥すじことイクラ、何が違うの?

さて、みなさんが②の時点で知りたかったであろう質問、いきましょう。答えとしては、「原材料の卵・卵巣の成熟度」です。

イクラは、成熟した卵巣から採取されます。成熟しているため、卵一粒ひとつぶが大きく、皮が分厚くなります。分厚い分、それぞれの粒をぶどうのようにつなげている「卵膜(らんまく)」は、心地よい食感を妨げるので取り除き、粒感を楽しみます。プチプチッとした食感が売りですね。

一方、すじこはイクラよりも未成熟な卵巣から主に採集されます。粒は小さく、皮は柔らかくつぶれやすいです。そのため、写真のように卵膜を残したまま、卵巣まるごとのまま加工し販売され、ある程度のかたまりのままで食べます。

すじこの海。はたして、ご飯何合いけるのだろうか

表紙にあったように、3-4cmの立方体のすじこががっつり入ったすじこおにぎりに、すじこ民は大きく心揺さぶられるようです。

すじこおにぎり再掲

⑦なんですじことイクラ、別の食品として売っているの?

すじこ未経験者のみなさんには、同じサケ類の卵の加工品なのに、別々の食品で売っているのを不思議に思う向きもあるかもしれません。

えー、ひとことで申し上げますと、用途・魅力が違うところが大きいです。用途からお話ししますと、イクラが海鮮丼やおせち料理などご馳走・ハレの料理として食べられるものに対して、すじこは「ふだん着の食材・ケの食材」と言えるかもしれません。事実、すじこの平均的な価格はイクラよりもリーズナブルです。

この「ふだん着」の食材であることが、⑨につながります。

⑧イクラに勝る、すじこの魅力はどんなところ?

今回は「すじこびいき」宣言をしたうえでの記事ですので、偏った応援っぷりになりますが、中の人が思うすじこの魅力は「凝縮された濃い味」と「口の中での爆発力」だと思っています。
 
すじこは卵一粒ひとつぶが小さいですが、濃厚さはいくらに引けを取りません。その粒々がまとまったまま口に入れて噛みしめるので、濃厚な味が爆発的に口の中で広がります。集団芸なんですよね、すじこ。

これ、イクラでは得られない満足感なんです。すじこ民が首を大きく縦に振ってくれると思います。

⑨どうやって食べるのがおいしいの?

やや塩辛いすじこの味付けは、お酒にも合うけれどもなんと言っても「ごはん」で食べるに限ります。酒もたしなむ中の人がわざわざごはんを相棒に推すのですから、これはホントです。


炊きたてご飯にすじこのっけ。
津軽弁では「あっつままさすんずこ」

具体的な食べ方をさらに書くと、大きく2通りの食べ方になります。
・あつあつのご飯にのせて食べる
・すじこおにぎり
のいずれかです。

すじこおにぎりの海苔は「味付けなし」が東日本標準?

どちらがよりよいか。普段は内輪で争わないすじこ民が、あらぬ論点で争うのは望むところではありませんので、今宵はここまでといたしたく・・・

⑩すじこの口になったので、すぐに食べたい!

ここまで読んだあなた、もう「すじこの口」になったことでしょう。

もしあなたが東日本・北日本にお住まいなら、渇望状態で目もうつろなままスーパーに行けば、すじこが売っていることでしょう。出かける前にご飯を炊き始めてから買いに行ってください。

最近では関東地方までは、コンビニおにぎりでもすじこを見るようになりました。すじこの口を満たすには、とても身近に補給できる世の中になりました。素晴らしい。

※2024年7月12日現在までの情報収集では、静岡県一部地域、さらに大阪まではコンビニにすじこおにぎりがある、と観測されています

さて、それ以外のエリアの方はどうすればいいか。すじこの口をすぐに収めるいい方法がないのが申し訳ないのですが、わたしたちのEC店舗をご紹介しておきます。

スーパーなどで売られているすじこよりもやや高めの価格になっていますが、初めて口にする方にも後悔のない、尖った塩味や生臭みのない最高の体験をもたらすことをお約束します!

次回をお楽しみに

まあまあ息切れしながら最初の10個をお届けしましたが、まだまだ魅力を語ります。わたしたちはすじこを売っているメーカーです。この程度で魅力を語ったと筆を置くわけにはいかないのです。なによりも、本当においしいから食べてほしい、ただそれだけなんです。

残り40個の知ってほしいこと、期待して次回をお待ち下さい。

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