国産「生」サーモンは4月から6月が旬!青森サーモン®養殖ダイアリー ①水揚げ
オカムラ食品工業が手掛ける養殖・調達・加工・販売の4つの垂直統合事業のうち、サーモン養殖事業にスポットをあてて、四季折々のイベントを追いかける「青森サーモン® 養殖ダイアリー」。
ここ数十年で身近な食材になった生サーモン(冷凍せずに生食できるサーモン)ですが、どこでどのように育っているか、といった知識はまったく身近ではありません。
このギャップを埋めるのが青森サーモン®養殖ダイアリーの目的です。知識ゼロからぜひ読んでください!
第1回は、4月からはじまった「水揚げ」。サーモン養殖のハイライトでもあります!
国産サーモンの養殖を手がけるオカムラ食品工業・養殖事業グループ会社の日本サーモンファームにとって、4月からはハイシーズンに突入します。水揚げです。
今回は4月上旬の、水揚げがはじまった青森県今別町の養殖場からお伝えします。
水揚げはなぜ4月からはじまるのか問題
なぜわたしたちの国産・海面養殖サーモンの水揚げ時期は4月から6月が旬なのか。まずはここからお話ししましょう。
わたしたちが養殖しているサーモンは、海水温が20℃以上になると生育が難しくなります。
このため養殖場のある青森県今別町・深浦町では、海水温が20℃を下回りサーモンにとって快適な11月頃から6月頃までが、海で養殖可能な期間となります。
養殖場の全いけすにいるサーモンの水揚げを6月いっぱいで終えるには、逆算すると4月頃から水揚げをスタートしておく必要があるのです。
というわけで、1年のうち半分強の約7ヶ月だけ海で養殖を行っているのは、「海水温」が大きな要因なんです。
世界には通年20℃を下回り、海面養殖を1年12ヶ月可能な海域もあります(サーモン養殖先進国のノルウェー・チリなど)が、日本と比べてメリットもデメリットもあります。話すと長くなるので、そこはまた別の機会に。
話を戻すと、つまりわたしたちが生のまま出荷できるサーモンの「旬」はおおむね4月から6月にかけて、ということになります。それ以外の季節は、加工・冷凍され、必要に応じて出荷されます。
冷凍しない生サーモン、おいしいんですよ。
水揚げの朝はやっぱり早い
ほかの農業・漁業のご多分に漏れず、水揚げの朝は早い。作業開始は3:30。4月なので、あたりはまだ真っ暗です。
4:30頃の現場風景がこちら。訪問した日の青森県今別町、気象庁のデータでは、5:00にマイナス0.3℃を観測してました。風速こそ1.4m/sと体感温度を下げてはいないものの、前日の朝は最低気温17℃だった東京にいた身には堪えます。
水揚げを見に、時々来訪される取引先の方も東京以西の方が多く、中の人と同じく4月の青森の冷気を「見誤った」表情を浮かべる姿が散見されました・・・みなさん、どうぞ温かい格好でいらしてください。切にお願いします。
さて、水揚げというとみなさんの中には、イワシやサンマの水揚げ風景でおなじみ「大きな網の底をしばっていたロープを緩めると、トレーにザバーっと落ちる魚」のイメージがあるかもしれません。
そのイメージを覆す写真がこちらです。左上に見えるホースを伝って、水揚げ専用のフィッシュポンプでいけすから吸い上げます。実に静的な写真でダイナミックさが伝わらない(笑)
いけすからポンプで吸い上げられたサーモンは、写真の下に横たわるパイプを通って、写真中央にある「やぐら」の上にある黒いパイプの方へ流れていきます。
黒いパイプの中頃には、スタンナーという装置がついてます。この装置で高圧電流を流して、サーモンを気絶させます。
パイプの下部に取り付けられた箱が通電装置です。これは、サーモンが暴れないようにする目的もありますが、血抜きをする際に苦痛や恐怖を感じさせないための工夫でもあります。
気絶したサーモンに血抜き加工を行い、コンテナに入れていきます。写真の数字は、この下の通路を何尾のサーモンが通過したかを数えるカウンター。その日のサーモンのサイズに合わせて、一つのコンテナに入る尾数の上限を決めています。規定の尾数になったら、新しいコンテナと取り替えます。
水揚げし、血抜き工程を経たサーモンはすぐさま冷やしこみます。鮮度を保つため、また雑菌の繁殖を防ぐために、「スラリーアイス」という細かい氷と海水でコンテナを満たします。コンテナの中の氷水のイメージは、スムージーの中にサーモンが沈んだ状態。とにもかくにも急激に冷やすんです。
冷やし込んだ氷水は、マイナス1.9℃。海水を混ぜ=塩分が入っているので、凍ることはありません。
早ければ日が昇る前に、コンテナを満載したトラックが、水揚げしたばかりのサーモンを60km先の青森市内の加工工場へ運びます。加工工場では、劣化しやすく食用しない内臓を取り除き、品質を保ったまま全国へ出荷されます。
魚がビチビチ飛び跳ねるような作業は、拍子抜けするほどありませんでしたね。でも、昨シーズンの2022年7月~2023年6月に1,606トンの水揚げを行ったわたしたちには、効率化が命。
リーズナブル(価格に対して価値のある)なサーモンをお届けするための機械化が、想像以上に進んでいると捉えてもらえるとうれしいです。
あ、そんな(自分で言うのもなんですが)先進的な設備と気のいいメンバーと働きたい方、採用ページまでお越しください!
次回は、工場でのサーモン加工現場をお見せしようと思います。
来週もどうぞお楽しみに―