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青森の「次の世代」に、サーモン養殖を伝える

さて、今回は先週に引き続き、新たな切り口での記事アップとなります。特にシリーズ名は設けていません。が、強いて言えば「広報日誌」とでも言いましょうか。

各所からいただいた様々なお問い合わせに対して、広報をハブにして、社内総力をあげてレスポンスを戻すシリーズ(になるかもしれない)です。

今回は青森県内の「次の世代」に、私たちが行なっているサーモン養殖を伝える、地道な活動についてご紹介します。

サーモン養殖 認知度・知名度は発展途上なり

あらためて、わたしたちの事業セグメントのうち、日本国内での事業となる養殖事業・国内加工事業では
①いくら・すじこ・かずのこなど魚卵の調味加工
②大規模サーモン養殖
③水揚げしたサーモンの加工
を手がけています。

①魚卵の調味加工については、わたしたちが創業した1971年から連綿と続けている事業です。

青森県内・東北地方では1990年代以降テレビで商品や企業CMを放映しており、大人世代に対しては魚卵加工メーカーとしての一定の認知度があります。詳しくはわたしたちのコーポレートサイト、CMギャラリーをご覧ください。「懐かしい」と思われる方も多いかと思いますよ。

ところが②③については、これまでの青森県民との接触・会話から受信したところ、「青森=サーモン養殖」からの「サーモン養殖=オカムラ食品工業」という認識は、圧倒的に認知されていないと感じます。

このnoteではもう読者の方が飽きるほどお伝えしていますが、
わたしたちがいま推進している「大規模生食用サーモン養殖」は、世界的にもここ40年ほどで発展した産業です。わたしたちを含めて、日本で技術を導入・推進を始めてから10年と経っていない、若い産業です。

つまるところ、「いまの大人世代」が「サーモン養殖=オカムラ」という方程式を知らないのです。いわんや青森県内の子どもたち。

青森県今別町の海面養殖場(東京駅2つ分の大きさです)

いまを生きる大人たちが、子供の頃に見ていたテレビCMを見て懐かしむように、子どもたちには今のうちからこの「大規模サーモン養殖」のことを知っておいてもらいたいと強く思うのです。

ありがたいことに、「養殖場や工場を見せてほしい、子どもたちにわたしたちの業務内容を伝えてほしい」といったオファーは、こども園から大学まで、幅広い教育機関からいただきます。
青森に根ざした事業を推進し、地域に貢献したいと考えているわたしたちとしては、お声がけいただく機会を逃さず、都合が合う限り来訪いただき、訪問するようにしています。

今日は、夏から秋にかけて来訪・訪問のあった、こども園児と高校生へのわたしたちの対応について見ていただきます。

こども園 園児さんたちがやってきた

今別 中間養殖場全景 右奥に見える半島の先は龍飛崎

ここは青森県今別町の淡水・中間養殖場。卵から孵化(ふか)させたサーモンを一定のサイズまで育て、海面養殖場へ移すまでの養殖過程を担う設備です。ここに、町内にある 学校法人 北原学園 今別こども園(以下:今別こども園)の園児さんたちが見学にやってきました。

園児さんといえば、次の地域を担う世代。サーモン養殖に関する英才教育を施し、ほか120万人弱の全青森県民の老若男女よりも、深い知識と親近感をもっていただきたい。
といった真の目的はおくびにも出さず、ただただ楽しみにやってきた園児さん達をお迎えします。

まずはオリエンテーション。弊社スタッフが、今日やってもらうことのほかに、「はしらないでね」「(サーモンがびっくりするから)大きな声をださないでね」など、注意してほしいことを伝えます。

それでは養殖場に入ります、の前に、次は長靴と手の殺菌を行います。
サケ類にとって憎き相手となる病原菌は数種類いますが、なかにはワクチンも治療のための薬も存在しない、恐ろしい病原菌もいます。簡単な予防法であっても、子どもたちであっても、ここはおろそかにはできません。

サーモンにエサをあげてみよう

それでは1つ目のアクティビティ、エサやりです。ただ見るだけではなく、園児たちがエサをあげれば、我先にとサーモンたちが飛び跳ねて食べに来ます。いわばコール&レスポンス。楽しいに決まってますよね。

子どもたちの歓声が飛び交います。
「おおきくなってねー」
「げんきなサーモンになってねー」
の声に混じって、
「おおきなマグロになってねー」
いや、それはちょっと厳しいかも・・・(実話です)

それはもう、居合わせた大人たち全員が癒やされる瞬間でした。

サーモンにさわってみよう

次は、自分でサーモンに触れる体験です。いけすから取り出したサーモン数尾を小分けにして、園児さんたちが触れやすくしてあります。ちなみに、小さな水槽では酸素供給が足りなくなるので、アクティビティが始まる直前まで酸素を供給していました。

みんな最初はおっかなびっくり。

お互いに見合ってみあって

「つかまえた!」一人が成功すると、あとは次々と水槽に手を入れて全員がサーモンに触ることができました。ちょっと強めに掴んでしまい、水に戻した時に気絶するサーモンもいましたが、すぐに息を吹き返して元気に泳ぎだし、大人たち全員がホッとする場面も。

しっかりと捕まえられてますね

最後はみんなでもう一度並んで園児さんたちが元気な声で
「ありがとうございました!」
こちらも「また見に来てくださいね!」と最高の笑顔で見送ったのでした。

高校生、サーモン加工工場を訪問

次の来訪者は、高校生です。題して「青森県立青森南高等学校(以下:青森南高校)の生徒さんがやって来る」。
総合的な探究の時間の授業で、興味ある青森の産業について調べるとのことで、わたしたちの会社を選んでいただきました。もちろん快諾です。

丁重なご依頼と高めのハードル

ちなみに生徒さんの訪問にあたり、学校・生徒さん本人から、大変丁寧なご依頼・ご対応をいただきました。
まずは先生から依頼のお電話があり、その後校長名での依頼文書をいただき、さらには先生からもう一度お電話がありました。電話を取ったところ、「生徒さんが直接お願いを申し述べたい」とのこと。
本人に電話を替わってもらい、今回の訪問の希望を直接承りました。ここまでしていただいたら、こちらもできるだけことはやります!となりますよね。

やりたいことや質問などが書かれた、生徒さんの企画書をお送りいただき読んでみると、「水産会社におけるフードロスの推進」について知りたい、とのこと。ぐぬぬ、なかなかの難易度のヤツがきたな・・・
工場スタッフ・店舗営業スタッフと相談のうえ、工場見学の準備を整えて待ち構えます。さあ来い、高校生。

やってきました高校生

当日、本人1名でわたしたちの工場までやってきました。1人で送り出すあたり、学校側の「自主自律」の精神を感じます。生徒をちゃんと大人扱いして、信頼して送り出しているのでしょう。

「バスで来たの?」の質問に生徒さん「自転車で来ました」。
マジですか。青森南高校から数キロありますよ、この工場まで・・・青森市内の高校生にとっては、数キロの自転車移動は日常レベルなんでしょう。

ここでもまずはオリエンテーション。工場責任者と店舗・販売責任者に挟まれちょっと緊張気味の生徒さん。弊社スタッフ、圧が強めでは・・・

工場へ入場のための服に着替え、入念な手洗い後、いざ工場へ。

養殖場同様、いやそれ以上に食品工場は衛生・殺菌について厳密です

大人たち、質問に一生懸命答える

「水産会社におけるフードロスの推進」というお題をいただいたわたしたち。いろいろ考えた結果、「ハラス」「カマ」「中骨」の商品加工についてお伝えすることにしました。

いつもながら、いらすとやはコンテンツ素材の神様です

これらの部位は、以前は利用しきれずに廃棄していたこともあったのですが、店舗営業スタッフの「売ってみたらいいのでは」という一言からプロジェクトがスタート、数年前に販売までこぎつけました。その結果、いまでは店舗でも指折りの人気商品になり、これら商品を目当てにやってくるお客様もいらっしゃるほどになっています。

様々な魚種の中でも廃棄する部位が比較的少ないサーモンですが、これらの部位を商品化することで、廃棄率はさらに減らすことができました。

説明を熱心に聞く生徒さん。青森県今別町・深浦町で2000トン以上のサーモンを養殖していることを伝えると、やはり「全く知らなかった」とのことでびっくりしていました。

その後、会議室でさらにディスカッションタイム。わたしたちの会社に訪問を決めたきっかけは「魚が好き」ということと、野菜や果物などの農産物よりも水産物のフードロス対策のほうが効果が高そうと思ったから、とのことでした。

農産物でも、さまざまなフードロス対策が講じられているとは思いますが、わたしたちとしては水産物に興味を持ってもらえるのは大変ありがたいことです。3名のスタッフと一緒に、ちょっと大人向けの難しい説明(弊社アピールを巧妙に混ぜ込む)も行い、この日の来訪は終了しました。

ほか製造工程も見学。魚好きとあって、熱心に見て質問していました

草の根の活動を、着実に

今回来訪いただき、事業をお伝えした若い世代は、この2つの来訪で合計9人。青森県民120万人弱に比べれば、微々たる人数かも知れません。

が、この一つひとつの活動こそが、子どもたち自身が育った青森県という場所ならではの産業について、より深く、親近感をもって知ることにつながります。

津軽海峡の海で育てるサーモンが、国内はもちろん、遠く東南アジアで、世界の需要を満たす。若い世代の青森県民みなさんに、青森の土地・海が世界から期待されている、という事実をもっとよく知り、誇りを持ってもらいたいと思っています。

地元企業の義務として、これからもこういった活動には前向きにお応えしていく所存でございます。