【社員インタビュー】水産食品会社で「品質管理を担う」ということ。
オカムラ食品工業で働くプロフェッショナルが、自身の持ち場・役割について語る社員インタビュー。
今回は、食品の安全・安心になくてはならない存在、品質管理についてスポットをあてていきます。担当するスペシャリストは、品質管理室の北川浩司さんです。
PROFILE 北川 浩司(きたがわ こうじ)
2022年入社 / 品質管理室 品質管理チーム
フワっとはわかるけど 「品質管理」って?
食品メーカーの品質管理ってどんな仕事?と聞かれれば「安全・安心な食品づくりに必要なチーム」という大目標については、誰しも想像はつきますよね。が、詳しく内容を考えたことは・・・あまりないかも知れません。
「安全・安心な食品づくり」という言葉から具体的な仕事の想像が難しければ、まずはその逆を考えてみます。つまり
「こんな食品は許されない・イヤだ」
を挙げてみましょう。やや大喜利めいてはいますが、こうすることでどんな仕事をしているか、その重要性が見えてきそうです。それでは北川さんに聞きましょう。
「まぜない」と「しらせる」品質管理の原則
ーーというようなことから聞いてみたいのですが(笑) 省略しすぎました?
いや、大丈夫ですよ(笑)。まず、品質管理の中でいちばん重要なポイントは、食品・飲料を通じて体内に摂取してしまったら、健康を害したり、さらには死に至るような「要因」をいかに排除するか、にあります。例えばこんな要因があります。
・ほぼすべての人にとって害のある
→細菌(例:O157)・腐敗・有毒物質
・人によっては生死に関わる要因になり得る
→アレルギー食品
また健康被害には繋がらなくても、排除すべき要因はこんなものもあります。
混入してほしくない
→骨(不食部)・昆虫・工場の機械部品
不正確な情報(購入時の判断材料のため)
→産地表示・GI(地理的表示)・容量・添加物
不正確な情報(摂取できる「量」 理由は同上)
→カロリー・栄養素
こういった要因に対する対策は大きく分けると2つに分類されます。
まぜない 殺菌・混入(コンタミネーション)防止・異物排除
しらせる アレルゲン食品・産地・賞味期限・栄養の表示
「まぜない」ためには、製造工程のルール設定と「ルール徹底の継続」が大事です。
「しらせる」ルールとしては、パッケージの裏に書いてあるような「食品表示」がありますよね。このルールを法制化したのが「食品表示法」です。
細則は細かく、違反に対するペナルティも厳しいです。それだけ、食品メーカーとして、買ってくださる方に対して責任が重いということです。
「まぜない・しらせる」対策が、いついかなる時も間違いなく実施されている状態を担保するための「チェック機能」が品質管理という仕事です。
ーーなるほど。健康被害も起こり得る責任があるのだから、厳格である必要がありますね。
また、自社の品質管理だけでなく、第三者機関が厳格に検査・認証するのがHACCP(ハサップ)やISO(アイ・エス・オー)、FSSC(エフ・エス・エス・シー)などの認証制度です。
取引先に、弊社の品質管理水準の高さをわかりやすく説明することができる利点もあります。ほかにも、社内定期チェックにも活用できる認証制度は、メーカーにとっては、品質に関する自浄・改善能力をさらに高めるツールにもなります。
※弊社グループで取得している認証は、以下リンクをご覧ください
責任をもって 商品を「世に出す・出し続ける」
ーー品質管理室の「出番」というのは、時系列としてはどのあたりからになるのでしょうか?
例えば新商品の開発が進み、製造部門・営業部門で商品の仕様・価格などに関して、ある程度合意したところで品質管理室の出番になります。調べることは、先程のチェックポイントに沿っていくと
・栄養成分の分析
・原材料確認(産地やアレルギー食材の確認、添加物)
・配合表(レシピ)・製造工程(手順)の確認
などが挙げられます。
品質管理室の仕事としては、
・初期確認:これらの製造工程の記録を確認し、食品表示ラベルを作成する
・継続検査:その後も同じ原料・手順で行われているか、定期検査
で、安全・安心な商品を世に出し「続ける」ところまで、責任があります。
ーー品質管理室の中での役割分担はありますか?
当社の品質管理室は、2つのチームに分かれています。
品質保証チーム
各商品の原材料や配合など、安全・安心な食品づくりに必要なあらゆる情報を一括で把握し、点検の計画を立てるなどの指示役となる「頭脳」。認証機関とのやり取りなども行います
品質管理チーム
実際に工場に行き、レシピ通りの原材料や配合、調理手順など、記載と同じ製造工程で商品を作っているかどうかを現場で確認する「実働部隊」
自社工場は、国内は青森市、海外はミャンマー・シンガポールにあります。ほかにも業務委託先の工場がベトナムにあります。このため、品質管理担当者は、定期的に海外出張にも行きます。いまは私は青森工場担当ですが、今後の担当変更によっては、海外担当もありえます。
ーーどちらが偉いとか、そういったことはないんですよね?
ないですね。
現場からの良い改善アイディアがあれば、品質管理チームが製造部門と一緒に新しい手順を考えて、品質保証チームがマニュアルを最終的に変更します。品質管理室の中だけでなく、製造部門とも対等な関係のなかで率直な意見を交わすことが大事です。
ーー新商品を作るときに大事なことはなんですか?
新たに作る商品があれば、これまでにない原料を使用する場合は特に、食品表示法などのルールをしっかり参照します。人の命に関わることですから、間違いは許されません。
法律も改善・変更されますから日々勉強です。民間の検定試験の取得など、通常業務の合間でスキルアップを行います。私も近々、食品表示検定の中級の試験を控えています。
チームだからこそ、プロジェクトの喜びを分かち合いたい
ーー当社に入社したきっかけを教えて下さい。転職されたと聞きましたが
大学卒業時には理科の先生になることも考えたのですが、理系の知識や興味を活かした仕事を考えた結果、とある食品メーカーの品質管理の仕事を選び、就職しました。前職の会社です。
その工場では、10,000個に1個の割合で発生する、食品包装に関するエラーの原因究明・対策をとれず定期的なクレームが発生してしまい、製造現場で困っていました。これはなんとか改善したい、と考え、上司と相談し自ら手を上げて、プロジェクトチームを作りました。
原因となりそうな工程・機械のそばにカメラを設置したり、特定のために試行錯誤を繰り返しました。
1年近くかけてようやく特定できた画像・動画を元に、製造メンバーと一緒に考えて、新たな工程や部品の取り付けなどトライアンドエラーを繰り返し、ようやく原因を特定し解消しました。その後エラーは0件になり、お客様からのクレームも0件になりました!
ーーおお、素晴らしい成果!
全グループ社内の表彰候補にも選ばれ、しかも賞を取ることができました。取り組んだことが形になり、製造部門やお客様対応のチームから喜ばれたことが嬉しかったのを覚えています。ところが・・・
ーーところが・・・?
製造部門のメンバーの評価と私の評価に差があったのです。
ーー自ら手を上げたプロジェクトなのに?
当時の上司も一緒に、会社側におかしい、と声を上げてくださったのですが、結果は変わりませんでした。品質管理という仕事に自負があっただけにショックでした。
会社に対するモチベーションが急速に冷え込むのを感じ、転職を検討し始めました。本当は実家のある長野県に近いところで、次の職場を探そうと思ったのですが、ご縁があり、2年前に当社に入社(東京本社配属)しました。
ーー北川さんのモチベーションに、会社が気づき切れなかったのかも知れませんね。それでも同じ食品・品質管理の仕事にしたのはなぜですか?
スキルを活かしたい、ということもありました。モチベーションをもって自発的に取り組んで得られた、さきほどの成功体験は会社のものではなく自分のものですし、いまでも品質管理の仕事に対して情熱も自負もあります。もう一度、近しい環境で挑戦したかったのかも知れません。
ーー品質管理という仕事の魅力はなんですか?
先程の話ではありませんが、品質管理・保証という仕事は、成果を評価されにくい仕事かも知れません。営業が売上を上げてきたり、製造部門が原価を押さえたり製造効率を上げたりといった、数値で評価が見えやすい仕事ではありません。
そういった意味では、プラスを作る仕事というよりは、減点をゼロにする仕事と言えます。
また、現場寄りの品質管理チームに所属する以上、製造部門の工程に対して、指摘を行う立場にあります。製造部門からすれば指摘を受ければ改善に手間が増えるし、数値目標の達成が遠のくこともある。
製造メンバーからすれば、もしかすると不要と感じているところまで、細かく指摘をしてくるのが品質管理室という見方もできます。
ただ、お客様に安心していただく、よろこんでいただくというゴールは営業・製造部門と同じです。意見の対立はあったとしても、成し遂げる成果は営業・製造部門と同じくらいうれしいんです。
前職でのプロジェクトチームのような成功体験を、ここでもみんなで得られるように経験をもっと積みたいですね。
厳しい意見も出すからこそ、コミュニケーション
ーー普段から気をつけている、大事にしていることはありますか?
もうすぐ品質管理という仕事を始めてから10年を迎えようとしています。年齢も経験もある程度積み重なってきたところで大事にしていることとして、2つのコミュニケーションがあります。
ひとつは、伝え方です。安全・安心というゴールを見ているからこそ、品質管理の面から譲れないポイントもあります。
指摘することで発生する手間の増加や計画に対するリードタイムなど製造部門で起こり得る「手間」や「痛み」をまずは想像することです。
痛みを想像できるからこそ、原因や現場を否定せずに製造現場の現状について傾聴します。そのうえで、お互いに納得行く改善が出るように、冷静に柔らかい言葉で話すように努めています。
もうひとつは、現場と管理職の立場の違いを見ながら仕事をしています。
限られた時間で、一定の成果を求められる製造部門では、現場とリーダーの間でも意見や認識のズレは起こるはずです。同じ製造部門と言っても、立場によって改善にあたって優先順位は異なります。
品質管理というポイントで発言をしたときに、製造部門の現場とリーダーの間のズレの解消にも、自分が役割を担えるように伝えられれば、改善はより早く強くなると思うので心がけています。
ーーオトナな発言でた(笑)
いいトシになってきたので(笑)
ーー休みの日は何をしているんですか?
釣りは割と好きです。去年まで青森配属だった新入社員と一緒に、週末はオールで夜釣りしたり。東京配属なので、関東近辺でも色んな場所に釣りに行きます。気分転換にいいんですよ。
ーー体力あるなー。
おわりに
前職での北川さんの成功体験は、本人の糧にもなっている一方、品質管理という仕事に対する誇りを再認識する大きなきっかけにもなったことが伺えます。
当社に転職して、前職での成功体験や「もっとできたのでは」という思いを今の業務でチームワークに活かしていることがわかるお話でした。
弊社では品質管理だけでなく、様々な職種を随時募集しています。ご興味ある方は、是非採用サイトをご覧ください。ご一緒に働くみなさんのご応募をお待ちしております。